胸部X線検査
肺や気管、心臓、大動脈などに異常がないかを調べます。また、側弯症(背骨のゆがみ)などもみられることがあります。
浸潤影 | 境界の不明瞭な濃度の高い白い影としてみられます。 |
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結節影・腫瘤影 | 境界のはっきりした類円形の陰影です。直径3cm以下を「結節影」、3cmを超えるものを「腫瘤影」といいます。 |
索状影 | 太さが2mm以上の複数の線状の影をいいます。 |
粒状影 | 数mm程度の顆粒状の影をいいます。 |
間質性陰影 | 肺の下の方、もしくは全体が白くぼやけた様に見える状態をいいます。 |
のう胞 | 空気の入った袋(肺胞)が拡張・癒合して風船のように膨らんだ状態をいいます。 |
胸膜肥厚 | 肺を包む胸膜の一部が少し厚く変化した状態です。 |
胸水 | 肺を包む胸膜に通常より多く水が溜まった状態をいいます。 |
心拡大 | 心臓が少し大きくなっている状態です。 |
側弯 | 背骨が後ろまたは左右どちらかに弯曲している状態です。 |
胃部X線検査
バリウムを飲み胃及び食道・十二指腸の一部をX線撮影で映し出します。それら臓器の形や粘膜面の変化を観察することで炎症やポリープ、潰瘍、がんなどを見つける検査です。
アレアの乱れ | 粘膜面に網目模様に見える胃小区(アレア)の大きさや形が不整になったり、消失したりと分布のばらつきが多い像です。 |
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透亮像 | 正常な粘膜面より隆起した病変によるバリウムがはじかれた所見です。 |
フレッケ | 正常な粘膜面より陥凹した病変によるバリウムが溜まった所見です。 |
ニッシェ | 正常な粘膜面より陥凹した病変によるバリウムが溜まった所見です。側面では辺縁突出像としてみられます。 |
辺縁不整 | 胃粘膜の隆起や陥凹を側面からみたときに現れる辺縁の不整像です。 |
粗大レリーフ | 胃のひだ(レリーフ)が肥大し、太くなったり蛇行している状態をいいます。 |
レリーフ集中 | 胃のひだ(レリーフ)がある点、面に向かった集中様を呈している像をいいます。 |
胃部内視鏡検査
口または鼻から内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸の内腔を観察していきます。異常な病変が存在した場合に生検(病理細胞検査)を行うことがあります。
逆流性食道炎 | 胃内容物(多くは胃酸)の逆流により、食道胃接合部や食道下部にびらんなどの粘膜傷害が認められます。ピロリ菌未感染者での発生頻度が高くなっています。主な症状は胸やけや呑酸ですが、喉の違和感などが出現することもあります。 |
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食道裂孔ヘルニア | 横隔膜には食道が通るための穴があり、これを食道裂孔といいます。胃の一部がこの裂孔から胸部へと脱出してしまった状態が食道裂孔ヘルニアです。原因としては加齢や肥満、背中が曲がった方などがあります。胃の内容物が逆流して逆流性食道炎を起こしやすくなります。 |
萎縮性胃炎 | 主にピロリ菌の感染によって引き起こされる胃炎を指します。大部分の方は無症状ですが、軽度の消化不良または胃もたれや膨満感などの症状を呈することがあります。高度の萎縮性胃炎は胃がん発生リスクが高く、定期的な内視鏡検査が必要です。ピロリ菌除菌治療後は胃がん発生リスクが低下することが期待されています。稀に、ピロリ菌感染と無関係な自己免疫性胃炎(A型胃炎)のこともあります。 |
胃過形成ポリープ | 消化管の内腔を覆う粘膜の一部が隆起したもので、正常粘膜が単に厚くなったものが過形成性ポリープです。通常大きさは2~3cmまでで、ほとんどのものは経過観察で問題ありませんが、大きなものからは稀にがんができることがあり、精密検査が必要となります。ピロリ菌による胃の慢性炎症がその発生に関係していると考えられています。 |
胃底腺ポリープ | 消化管の内腔を覆う粘膜の一部が隆起したもので、茎のない5mm程度の半球状のものがほとんどです。ピロリ菌のいない胃に発生することが多く、がん化することもないので、経過観察は不要といわれています。 |
胃たこいぼびらん | 胃幽門前提部に好発します。びらん周囲の再生粘膜が隆起した形が、たこの吸盤に似ていることから名づけられています。 |
胃キサントーマ | わずかに隆起する境界明瞭な白色から黄色調の病変です。ピロリ菌感染との関係があるとされています。 |
胃潰瘍 胃潰瘍瘢痕 |
胃酸の影響を受けて胃の粘膜に欠損が生じた状態を「潰瘍」といい、潰瘍が完全に治癒し粘膜欠損が修復された状態を「潰瘍瘢痕」といいます。ピロリ菌の感染と非ステロイド性抗炎症薬が2大病因であるといわれています。また、ストレスも潰瘍の原因となります。 |
胃粘膜下腫瘍 | 胃の中にできるポリープのような病気ですが、胃の粘膜よりも深いところ(粘膜下)にできる腫瘍です。 |
十二指腸潰瘍 十二指腸潰瘍瘢痕 |
十二指腸の粘膜に欠損が生じた状態を「十二指腸潰瘍」といい、治癒した状態を「十二指腸潰瘍瘢痕」といます。主な原因はピロリ菌感染です。球部に好発し、重篤な合併症として、出血、穿孔、穿通、狭窄があります。 |
心電図検査
心電図とは心筋が収縮する時に発生するわずかな電気エネルギーの変化を目に見えるように記録したものです。心臓の筋肉の移動、不整脈、心臓肥大などがわかります。
洞性不整脈 洞性徐脈 洞性頻脈 |
心臓が規則正しいリズムで動いているのは、規則的に信号(刺激)を出す「洞結節」というところがありその信号に従っているからです。その信号の出方が呼吸などにより不規則となり、心臓の動きが不規則になった状態を「洞性不整脈」といいます。また、信号の出が遅く心拍数が少ないものを「洞性徐脈」、信号の出が早く心拍数が多いものを「洞性頻脈」といいます。 |
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期外収縮 | 心臓を動かすために信号(刺激)を出す「洞結節」からではなく、別の場所から通常より早く信号が出ることがあります。その別の場所から出た信号によっても心臓が動いてしまうため脈に乱れが生じます。これが期外収縮です。心室から別の信号が出ているものを「心室性期外収縮」、心房など心室より上の部分から信号が出ているものを「上室性期外収縮」といいます。 |
脚ブロック | 心臓の電気刺激の一部に障害がある状態です。「右脚ブロック」は健康な人にも見られる現象です。しかし「左脚ブロック」は、心臓の病気が原因で起こることがあるので、原因を調べる検査が必要です。 |
右軸偏位 左軸偏位 |
右または左に心臓の電気軸が傾いた状態です。「右軸偏位」は小児や痩せている人でも見られ、「左軸偏位」は肥満や妊婦・高齢者で見られることもあります。軸変位のみでは特に問題はありません。 |
高電位 左室肥大 |
心電図で記録される波形が大きい時に「高電位」といい、「左室肥大」に認められます。心臓が胸壁に近い場合や、痩せている胸が薄い場合にみられることがあります。また高血圧症のある方でも見られます。波形の他の変化を伴わなければ心配いりません。 |
平低T波 陰性T波 ST低下 |
T波、STというのは心電図の波につけられた名前です。多くは心臓筋肉に負担がかかった状態や障害により起こります。「平低T波」は高血圧や健康な方でも見られます。「陰性T波」は高血圧や狭心症の可能性もあります。これらの所見がみられた場合は、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患が疑われることもあるので、精密検査が必要なこともあります。 |
PQ短縮 WPW症候群 |
心臓を動かす電気心臓の通り道の上部分に余計な通り道がついている場合、このような所見となります。この場合、ごくまれに「頻脈発作(突然脈拍が極端に増加する発作)」を起こすことがあります。 |
房室ブロック | 心臓を動かす電気心臓の通り道の上部分で、伝わり方が悪い場合をいいます。Ⅰ度はほとんど心配ありませんが、Ⅱ度・Ⅲ度になると精密検査が必要になることがあります。 |
眼底検査
眼底検査とは、目の奥の網膜の欠陥の状態を観察し、動脈硬化、眼底出血などの有無を調べることで、動脈硬化の程度、高血圧、糖尿病による合併症や白内障・緑内障の有無などがわかります。
白内障(疑い) | 眼のレンズにあたる水晶体に濁りが起きる病気で、視力低下が進むと手術が必要になります。霧がかかったようで見えにくい、明るいところで極端にまぶしいなどの症状があれば眼科受診をお勧めします。 |
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緑内障(疑い) | 視神経が障害されて視野が狭くなる病気です。放置すると失明する恐れがあります。 |
視神経乳頭陥凹拡大 | 緑内障を疑う重要な所見です。 |
硬性白斑 | 高血圧・糖尿病などが原因で、網膜の血管からタンパク質や脂肪が漏れてできる境界鮮明な白い斑点です。これらの疾患の主治医に相談してください。 |
出血(疑い) | 眼底の出血はいろいろな原因が考えられ、重大なものもあります。 |
網脈絡膜変性・萎縮 | 網膜と脈絡膜に変性・萎縮がみられます。いろいろな原因で起きます。 |
網膜変性 | 夜盲・視野狭窄・視力低下を起こす網膜色素変性の疑いがある所見です。 |
黄斑変性(疑い) | 網膜の中心部で視力に最もかかわりが深い黄斑部に変化が起きる病気です。黄斑が損傷すると視力の低下、視野の中心部が歪む、薄暗く感じるなどの症状が現れることがあります。高齢者に多く発症することから、加齢による老化現象が主な原因と考えられます。 |
黄斑部所見 | 黄斑は網膜の中心にある小部分ですが、ものを見るためにきわめて重要な役割があります。この部分に変性や浮腫、出血などがあるときは、眼科受診が望ましいと思われます。 |
乳頭部所見 | 乳頭は視神経や血管などが後方から眼球の中に入ってくる場所で、少し窪んでいます(陥凹)。陥凹拡大は緑内障の疑いがあります。健診ではまれですが、浮腫があれば脳腫瘍を疑います。 |
腹部超音波検査
超音波で肝臓・胆のう・膵臓・脾臓・腎臓・腹部大動脈などの病変の有無を調べます。
肝のう胞 | 肝臓に袋状の組織ができ、その中に水のようなものがたまった状態をいい、良性の疾患です。小さなものは問題はありませんが、大きくなりすぎると周囲組織を圧迫して障害を起こすことがあります。画像上、明確ではなければ疑いになります。 |
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脂肪肝 | 肝臓に脂肪がたまった状態です。主に飲酒や肥満が原因であり、生活習慣病(脂質異常症、糖尿病、高血圧)との合併率が高い疾患です。高度になると肝機能障害を伴い動脈硬化の温床となります。食生活を見直し栄養過剰を避け減量をはかることと酒量を減らすことで治癒が可能な疾患です。 |
肝血管腫 | 肝臓で頻度が高く発生する良性で海綿状をした血のたまった腫瘍をさします。健診の超音波検査で発見されることが多く、よほど大きくなければ問題はありません。初めて発見されたときや経過観察中に大きさに変化が見られる場合は、念のため精密検査が必要です。また疑いでも精密検査をして問題がないことを確認してください。 |
肝内石灰化 | 肝臓にできたカルシウムの沈着のことをいいます。結核、寄生虫、出血などが原因で形成されたものです。 |
胆嚢ポリープ | 胆嚢の粘膜がコレステロールの塊などで隆起した状態で、自覚症状はありませんが、定期的に大きさを確認してください。10mm以上の場合、悪性の腫瘍との鑑別が必要なために精密検査が必要です。 |
胆嚢結石 | 胆のう内に石があります。石の成分は、コレステロール、ビリルビンカルシウム、黒色石成分など多種にわたり右上腹痛などの症状があるとき、AST・ALT・γ-GT等の異常があるときなどは受診が必要です。 |
胆嚢腺筋腫症 | 胆のうの壁が全周性、または部分的に厚くなっている状態です。腺筋腫症自体には問題はなく、定期的な検査でよいと思われますが、他に石を認めたり、悪性の腫瘍を疑う場合があります。 |
胆嚢壁肥厚 | 胆のうの壁が一部厚くなっています。原因を確認するために精密検査が必要な場合があります。 |
腎臓石灰化 | 腎実質にカルシウム・尿酸などが沈着している状態です。炎症性など様々な原因で石灰化がみられます。 |
腎臓結石 | 腎臓内に石があります。腰痛・側腹部痛・血尿などの症状がありましたら、早急に受診が必要です。 |
腎臓のう胞 | 臓器に袋状の組織ができ、その中に水のようなものがたまった状態をいい、良性の疾患です。小さなものは問題はありませんが、大きくなり周囲組織を圧迫すると障害を起こす可能性があり治療が必要になります。 |
腎血管筋脂肪腫 | 腎臓の中にできる良性の腫瘍で、血管や平滑筋や脂肪成分からできています。経過を見る必要がありますが、初回診断時には精密検査を指示する場合があります。 |
水腎症 | 腎臓で産生された尿が膀胱へと移行される過程において何かしらの排泄障害を受け、尿の通り道が拡張してしまっている状態です。精密検査が必要な場合があります。 |
膵臓のう胞 | 膵臓に袋状の組織ができ、その中に水のようなものがたまった状態をいい、良性の疾患です。小さなものは問題はありませんが、大きくなりすぎると周囲組織を圧迫して障害を起こすことがあります。 |
膵管拡張 | 膵臓内を通っている主膵管が拡張している状態です。膵臓に何らかの病変が生じている可能性があります。 |
脾腫 | 脾臓が大きく腫れた状態です。肝機能異常や血液疾患などが疑われることがありますので、他の検査を含めて継続的な検査が必要となる場合があります。 |
脾内石灰化 | 脾臓にカルシウムの沈着を認めます。結核、寄生虫、出血などが原因で形成されたものです。 |
脾のう胞 | 脾臓内に袋状の組織ができ、その中に水のようなものがたまった状態をいい、良性の疾患です。小さなものは問題はありませんが、大きくなりすぎると周囲組織を圧迫して障害を起こすことがあります。 |
副脾 | 脾臓の近くに約10%の割合で認められ、通常、病的な意義はありませんが、定期的に検査を受け、大きさの確認をしてください。 |
腫瘍 | 腫瘍が疑われます。良性、悪性の判別に他の画像検査が必要となりますので精密検査が必要です。肝腫瘍、胆のう腫瘍、腎腫瘍、膵腫瘍、脾腫瘍があります。 |
腹部大動脈瘤 | 心臓が血液を送り出す最も太い血管が大動脈で、その壁がもろくなり膨らんでこぶのように突出したり、風船のようになった状態をいいます。原因の多くは高血圧と動脈硬化です。 |
腹部大動脈プラーク | 血管内膜の動脈硬化による部分的な肥厚をいいます。 |
腹部大動脈石灰化 | 大動脈壁の石灰化とは、血管壁にカルシウムなどが沈着し、弾力性や柔軟性を失い硬くなった状態です。肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化などが原因となります。 |
マンモグラフィ
乳房を上下・左右に挟んで、X線撮影をする検査です。小さな石灰化を有し腫瘤を形成しない乳がんの発見を得意とします。
腫瘤 | しこりのことを言います。良性・悪性いずれの場合もありますので、詳しい検査が必要になる場合もあります。 |
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石灰化 | 石灰化の中で形や分布の状況などから、良悪の判断が必要となるものをいいます。過去の撮影されたものとの比較により変化のないものは、経過観察となることもあります。 |
良性石灰化 | 石灰化は乳房内部にカルシウムが沈着したもので、ホルモン・加齢・授乳・まれにがんなどの影響で出現することがあります。石灰化の中でも、形や大きさによって明らかに良性だと判断されるものをいいます。良性石灰化が悪性に変化することはありません。 |
非対称性乳房組織 | 両方の乳房を比較したとき、濃度や乳腺組織に左右差があると判断されたもの。左右差がある場合でも、それが正常乳腺だと判断される場合もあります。 |
局所的非対称性陰影 | 全体の乳腺のある限られた一部分に左右差があると判断されたもの。局所的になるため腫瘤との鑑別が難しく精密検査が必要になる場合があります。 |
構築の乱れ | 腫瘤は明らかではありませんが、正常の乳腺構造が歪んでいるものをいいます。炎症などによる瘢痕やがんが浸潤することによって生じます。同一部位の手術の既往がない場合は、精密検査が必要になります。 |
リンパ節の所見 | リンパ節は原則的にマンモグラフィ上どこにあっても良いものです。まれに悪性を疑うものもありますが、多くの場合は正常なリンパ節です。 |
乳腺超音波検査
超音波で乳房の病変を見つける検査です。微小腫瘤の発見が得意です。また若い年齢で乳腺の発達している人ではマンモグラフィより異常を発見しやすいとされています。
のう胞 | 良性のしこりの一つで高頻度でみられます。乳管が袋状にふくらんで、中に液体が溜まった状態のことです。本来は柔らかいのに液体が緊満する と固くなることがあります。 |
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線維腺腫 | 乳腺とその周辺にある線維部分が増えて、コロコロと良く動くしこりになったものです。若い女性に最も多い良性腫瘤の一つで、がん化することはほとんどありませんが、大きさや形など変化がないか定期的に観察することをお勧めします。 |
乳腺症 | 女性ホルモンの影響で、変化した乳腺の状態をいいます。痛みを伴ったり硬く触れることがあります。 |
乳管拡張 | 乳管の拡張を生じる原因はいくつかありますが、大きく分けると乳腺の分泌過剰などの機能的異常に伴うもの、乳管周囲の炎症に伴うもの、そして乳頭腫や乳がんなどの腫瘍からの出血が原因になっているものとがあります。多くは無症状ですが分泌物が茶褐色、あるいは血液が混じっている場合は要注意です。 |
乳腺腫瘤 | しこりのことを言います。良性・悪性いずれの場合もありますので、詳しい検査が必要になる場合もあります。 |